ちょっと凝った本の感想
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ビタミンC点滴大量投与についての本です。 著者はアメリカでこの療法を学んできたという医師。 * ビタミンCを点滴で大量投与すると、経口摂取の場合より急速に、そしてはるかに血中濃度が上がります。 それで血中のガン細胞を殺してしまおうというのです。インビトロでは効果があるようです。 インビボ(人体)でもそうなることもあるようです。 ただし、そうならない結果はわざわざ発表していない研究者がいたり、あってもこの本では紹介していない可能性もあります。 * 問題は血中ではなく、組織にあるガンの本体です。 血中濃度ほどには組織中のビタミンC濃度は上がらない(能動輸送ではないので)でしょうから、どれくらい効果があるかは疑問です。この点についてこの本では全く触れていません。 * 自分が腫瘍内科医ならば、ほかに方法のない末期ガンの患者さんにぜひとも試してみたいところです。 なんか延命効果やQOL(生活の質)の向上効果はあるような気がします。 日本では混合診療になるので、普通の病院ではできませんが、これのみをやるクリニックで受ければいいわけです。探せば結構あります。この本にも施設のリストが載っています。 ### PR
この本は県境に関わるさまざまな事例を詳細勝つコンパクトに解説。 日本の都道府県の中で県境がきっちり決まっているのはたったの9県ですって。日本って結構きっちりしていると思っていましたが、案外アバウト。 ま、山が多いからしょうがないのでしょう。山は基本的に分水嶺で分ければいいと思っていましたが、ややこしい事情のあるところではそうもいかないようで。 島や湖も線引きが難しいが、もっとめんどくさいのは川。洪水のたびに流路が変わることがあるからですね。 明治維新の時の県(県域、県名)の変遷が面白かったです。 東京府があったのは知っていましたが、その中に「東京市」まであったのは知りませんでした。東京都になって廃止されたのは第二次世界大戦中。 四国には2県しかない時代があったそうです。 明治初期には 100以上の県があったようで、北海道はまだなかった。 なんと、石川県が日本最大の県であった時代があったとか。富山県と福井県の一部を有していたからだそうです。 1年の間に 4回も所属する県が変わった地域があったとか。 あなたの住んでいる県はもとは何県だったのか、興味ないですか? ###
はじめの解説の中で橘さんが、発展途上国への援助が発展途上国の不幸を増幅しているという話をしていました。 そういう国はだいたい独裁政権の国が多くて、国民の不幸を過大に発表して外国から援助を呼び込み、援助金をせしめたり、援助物質をヤミ市に流して儲けると。 それらの無料で高品質な物資がヤミ市に流れることで、その国内の農業や生産業に大ダメージを与えるため、援助すれば援助するほど国民の不幸が増大するとのことです。 ケニアの経済学者などは「頼むから援助するのはやめてくれ」と言っているほど。 日本の震災のケースには当てはまらないかもしれませんが、被災地の生活や産業が自力で立ち直れるように気を遣わないといけないかもしれません。 ****
問題作。フィクションなのですが、面白い。6作からなる短編集。
第1章は「仏陀は悟ってなんかいなかった」という衝撃的な内容。 バチがあたりそうですが、仏陀は悟りを開いた後も不要な瞑想を続けていたそうで、悟りを開くための瞑想がなぜ必要だったのか。つまり、真の悟りには至っていなかった。少なくとも本人はそう思っていなかった。 では最終的には悟りに至ったのか。仏陀は死ぬ前にどんなバラモンが自分の葬儀をあげるのか不安だったということが書いてあります。だめじゃん。 仏陀は宗教家というよりは思想家だったのでしょうね、と思わせるお話です。あくまでお話です。
現在噴火している新燃岳に関連して小説を紹介します。
著者の石黒燿さんは黒燿石からとったペンネーム。実は耳鼻科の医師で、私にとっては高校の6年上の先輩です。一度宴会でお会いしたことがあります。 この小説は第26回メフィスト賞受賞作です。 じつは石黒先生、耳鼻科医であって火山学者ではないのですが、趣味での火山好きが高じて、ついに小説にしてしまったのです。 話の内容ですが、衝撃的。 霧島、桜島を含む九州南半分の地底にはそれらを含むスーパー火山が眠っていて、それが一気に噴火して、九州が壊滅。東に流れた大量の火山灰で東日本も壊滅するという話。 小松さんの「日本沈没」に匹敵するスケールですね。 この小説でも日本は滅んでしまいますが、カンとは正反対のやり手の総理大臣が妙手を出して日本人を救います。 このスーパー総理大臣のモデルは石黒先生の高校時代の同級生であるS氏です。実物と同じく、実行力、度胸満点の好漢に描かれています。 カンに代わってほしいものです。 |
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